会 長 挨 拶
(社)奈良県臨床衛生検査技師会
会長 倉 本 哲 央
2006年、厚生労働省の発表では我が国の平均寿命が初めて減少しました。その中、平成18年度診療報酬改定は医療改革協議会がまとめた「医療制度改革大網」に沿ってマイナス3.16%の引き下げが決定され、これによる国費の所要額を織り込んだ一般会計予算が設立された。高齢者の負担増などで医療給付費抑制を目指す医療制度改革関連法案の国会審議が始まり、本年度国会で賛成多数、可決される見込みとなりました。
医療制度改革関連法案の国会審議で特に問題になったのが、療養型病床問題であります。年一兆円ペースで増え続ける医療費の抑制を図るために、70〜74歳の高齢者の窓口負担を2008年から現行一割を二割へ引き上げ、また38万床ある療養病床については、6年間で介護型13万床を廃止し、医療型も26万床を15万床に削減を図るなど、需要と供給両面から抑制をかけようとしています。これらの医療環境は医療費抑制政策、医療法改正、個人情報保護法など、医療を取り巻く環境は著しく変化し、大変厳しい状況が続いています。
医療制度改革大網の基本的な考え方は、安心・信頼の医療確保と予防の重視、医療費適正化の総合的な推進、超高齢化社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現であり、この基本方針に沿って平成18年度診療報酬改訂が行われました。改訂のポイントを要約しますと、@患者から見て分りやすく患者のQOLを高める医療の実現、A質の高い医療を効率的に提供するための医療機能の分化・連携の推進、Bわが国の医療の中で今後重点的に対応すべき領域の評価、C医療費の配分の中で効率化の余地があると思われる領域の評価であります。このうち臨床検査・輸血領域が直接関与しているところを挙げますと、@では外来迅速検査加算、ABでは再診時の外来診察料包括項目からヘモグロビンA1cの除外、輸血管理料と病理検査関連の病理診断料・病理組織迅速顕微鏡検査・免疫抗体法・電子顕微鏡検査の増額、Cでは検体検査実施料の見直し、検査区分の変更、新規項目の追加などであります。上記のような診療報酬改定に関して詳細は臨床検査関連雑誌に解説されていると思いますので参照ください。
本年度の様々の技師会活動を挙げますと、まず日臨技では生涯教育活動のなか、各部門の認定検査技師制度を獲得するため、今年は認定一般検査技師制度が誕生し。各都道府県で特例の試験が実施されました。(各県で2名〜8名で奈良県は2名推薦)近畿地区では理事・役員の改選により、活動が多方面で活動・展開されると思います。
近畿臨床検査学会は平成18年度は福井県担当で執り行われますが、特に近臨技チーム医療推進委員会より21世紀を担う臨床検査技師実施セミナーとして1、糖尿病療養指導・感染対策(ICN)・NST褥蒼チームのセミナーが挙行されます。
本年度より、5年間ODA(政府国際援助機構)より国際協力機構(JICA)の申し入れによりJIMTEF,近畿臨床検査技師会に業務を委託されました。その内容は仏語圏アフリカ臨床検査技術コースであります。国名はペナン、ギニア、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、セネガルの六カ国であり各2名の合計12名です。
奈臨技の会員皆様方にも何かとご協力をお願いすることがあると思いますが、その節にはよろしくお願いします。滞在日数は約190日程度です。奈臨技におきましては、衛生思想の啓蒙・学術活動の充実・精度管理を重点的に活動を進行していますが、会員各位のご協力と意識改革の程お願いします。
本年度は奈臨技創立50周年、法人設立20周年の節目に当たりますが、平成18年9月24日の記念事業を企画させていただいき、このことにつきましても奈臨技会員皆様方のご理解とご協力を賜りましたことに対しまして厚く御礼申しあげます。今後とも奈臨技会発展のため、なお一層のご支援をお願いします。